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片野 吉男; 有賀 武夫; 白石 健介
Journal of Nuclear Materials, 132, p.32 - 40, 1985/00
被引用回数:4 パーセンタイル:54.54(Materials Science, Multidisciplinary)ステンレス鋼へのN-イオン照射効果については、既に照射によるボイドスエリング挙動(J.Nucl.Mater 103-104(1981)1053)及び深さ分布挙動(同誌122-123(1984)191)をそれぞれ発表して来たが、本研究では、照射による析出効果について電子顕微鏡により組織観察で調べた。1.1MeVのN-イオンを照射温度803Kで照射量60dpaまで行なった。この時損傷ピーク位置おける照射速度は約0.3at%/dpaである。照射量20dpaの組織観察では、クランクループ上又は母相中に微細な析出物が観られ、電子線回折(SAD)の結果'相の回折斑点が認められ、X-線分析(EDS)により、それらは、Ni及びSi偏析による'相(NiSi)であることがわかった。更に照射量を42および60dpaにすると、各々の照射量と共に板状折出物が観察され、それぞれ析出物の平均径は18nmおよび28nmであった。又数密度は、照射量に依存せず、約7.410/m程度である。この板状析出物はSAD及びEDSの解析によりCrN相であることがわかった。このようにステンレス鋼へのN-イオン照射では高密度の'相やCrN相の照射析出が起こることが明らかとなった。
深井 勝麿; 白石 健介; 八木 栄一*; 浜田 省三; 沢井 友次
日本原子力学会誌, 26(11), p.974 - 976, 1984/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.3(Nuclear Science & Technology)イオン照射によって金属材料中に生じる損傷の分布は一様ではなく、照射イオンの平均飛程近傍に集中する。従って、イオン照射による実験結果を定量的に解析する上で、一つの基準となる平均飛程を実測することは重要である。高エネルギーHeイオンのステンレス鋼における平均飛程を実測するために、我々が開発した化学エッチングによる方法が、Heイオンに限らず他のイオン種にも応用できることをArイオン及びNイオンの照射によって確かめた。この方法によって、ステンレス鋼におけるArイオン(45.7MeV)及びNイオン(86.2MeV)の平均飛程は、それぞれ6m及び40mと求められた。これらの値は、拡張E-DEP-1コードを用いて計算した平均飛程〔Ar(45.7MeV)…5.2m N(86.2MeV)…39.8m〕とかなりよく合う。また、照射後、高温で熱処理すると飛程近傍に顕著な組織変化が起きる。このため、同じ方法で飛程を求めることができる。